初等学部の理事長で、幼稚園の園長でもある港先生の熱い想い

2002年2月の記事一覧

何となくブルー

 小泉総理が田中外相を更迭したことによって、その支持率は下り坂を何の抵抗もなく転げ落ちるボールの如し。2月20日のNGOに関する参考人質疑では、田中前外相は外務省改革が思うように進まないのは、前に出ようとしてもスカートのすそを踏まれていて前に出られない、踏んでいるのは官邸にいるといい、自分を更迭したのは首相の間違いであると言い切った。全面的に現内閣に反旗を翻したわけだ。そしてマスコミも手のひらを返したように一斉に抵抗勢力に転換した。

民間のニュースキャスターやマスコミ一般の身軽さにはまったくもってハエみたいなもの。小泉首相が誕生した時には、90%近い支持率に寄り添って暗に抵抗勢力といわれている政治家を批判し、大衆に媚を売ってきた。世論の支持率の低い内閣は必ず長持ちしないという今までの経過を踏まえて、一斉に小泉批判に急傾斜した模様だ。バラエティ番組でも、朝昼晩とひっきりなしに小泉首相の批判が目に余る。政治評論家でもない、ちょっとテレビで顔が売れているぐらいのおばさんまでも言っている始末だ。諸葛孔明も断腸の思いで泣いて馬蜀(蜀は当て字)を断ったではないか。

よくよく分析してみると、田中前外相の言っていることは政治家としての、あるいは日本国の外相としての理念に基付いた発言ではなく、私事の怨念を吐き出したということで個人的鬱憤をメディアをつかって日本国中にばら撒いただけの話である。小泉首相にしたって誕生してまだ10ヶ月ではないか。誰が首相になれば、この国の現状を大きく希望のある国へと誘導できるというのだ。見守るという度量の大きさが求められているときなのだ。誰かが「世論に浮かれていると本当に衆愚国家になってしまうぞ!」と警鐘を鳴らさなければならないのだ。

郵政三事業の民営化、道路公団の民営化、効率の悪い特殊、特別法人は全て民営化し、税金を払ってもらうというわけだ。このようなことを大胆に実施することによって、官僚の天下りによる納税者の不公平感を無くし、政治家にあっては族議員の排除というねらいがある。このような大それたことを誰にできるというのだろうか。またペイオフの実施は、今まで銀行法により銀行はつぶれないという神話によって、天下り官僚が銀行の頭取におさまり経営責任を問われることもなく大盤振る舞いをして、今日の不況を招いてきたことを諌めるものである。銀行も左団扇で仕事ができなくなるということである。このような構造的な改革をしようといっているのだ。それにしても、日本の金融機関と旧大蔵省と日本銀行の責任者たちが予測を誤り現在の不況を招いたはずなのに、その原因の調査や誰が携わっていたのかなど一切不問というのはおかしい。

 福田官房長官と田中前外相のいざこざは、角福戦争を二世代にわたってやっているようで見ている方でも何だか怨念がましくてあまり気持ちのいいものではない。ご両人もその辺のところは意識しているようで、なるべくそのような雰囲気に持っていかないように努力しているようだが、当時を知っているものには下手に勘ぐられる。鈴木宗男議員のことは、中川一郎先生の秘書官時代から知っている。秘書官時代から現在まで“秘書の鏡”と云われている。中川一郎率いる青嵐会の金庫番であり、秘書でありながらその権勢は衆議院議員の当選1回や2回の議員では太刀打ちできなかった。私のように距離のあるものに対しては、面倒見がよく、早口でにこやかに“何をしてもらいたいのか”要求するぐらいの人だった。しかし当時鈴木宗男秘書官にお会いするのに、直接お会いできる人はそうは多くはなかった。必ずその下の秘書官がいたものである。その行動についてミニ角栄と言われているが、どちらかと言うと雰囲気は浜幸さんに似ている。
 その後中川一郎先生が自殺し、中川先生のご子息中川昭一さんと共に北海道5区から出馬し、見事お二人とも当選した。今回のODA疑惑で自民党内から離党勧告が出されそうであるが、口火を切ったとされる議員が、かつて中川一郎先生と政治信条を一つにした青嵐会のメンバーであることが因果を思わせる。

 さて構造改革であるが、医療改革は医者の収入を減らし、サラリーマン30%負担が明記され15年度から開始と聞いた。15年度といったら来年である。急いでどこが悪いのか今年中に治しておこうなどと思っても、こればかりは都合がつかない。診療報酬をカットされる医者もそれなりの社会的な地位があるのだから、それなりの経済的待遇を受けてもいいはずである。しかし一家に3台のベンツは要るまいと云われているようだ。豊かな生活はこっそりやればいいのにと思う。
今度削られるのは、間違いなく福祉関係であろう。特に措置費でまかなっている保育所の形態が変わろうとしている。すべて“受益者負担”ということになる。保育所を経営しているものにとっては大変な打撃である。当然入所者にとっても大変な負担になることは間違いない。幼稚園との違いは保育時間の差と所管が違うだけになるだろう。保育園や保育所のことはあまりよく知らないが、入所者が経営側と直接契約などとなったらかなり混乱するだろうなと思うし、0~2歳児などは到底措置されないと預かれないことになる。

 自分のことは自己責任においてまかないなさいと言うことだから、幼稚園側も対岸の火事としてみているわけには行かない。現在補助金の交付を止められたら、全国で1割の幼稚園しか残ることができないだろう。全額カットされることはないにしても、かなりの減額になる時代がそう遠くない時期にきっと来ることは間違いない。そのような状況が予想される中、保育所や幼稚園の公設民営化が進んでいる。地方の自治体で幼稚園を経営すると、私立の幼稚園と比べると3倍も費用がかかるというのも珍しくないからだ。だから自治体で私立に補助金を出して経営してもらったほうが安上がりなのだ。その上私立の場合は競争があるから、何とか良い保育をしてわが園に子供たちを呼ぼうとするので、質の低下ということもなくむしろ前向きで活気がある。

 何事にも大変な時代がやってきたようだ。幼稚園が保護者に試験される時代はもう始まっている。しっかりと信念を持たないと社会的なリストラにあってしまうのだ。心して前進しよう。