初等学部の理事長で、幼稚園の園長でもある港先生の熱い想い

初等学部の餅つき

山奥の過疎地の『やまびこ小学校』みたいなところでないと餅つきなどの行事は行わないだろう。ここは過疎地ではないけれど、過疎地にできたような学校だからとても家族的で、校長が全員の名前と顔が一致するなんて言う小学校は都会ではないであろう。職員室は校長のクラスで、クラス分けなどない出入り自由なクラスだ。そこでストーブを囲んでお話をするという、とても牧歌的雰囲気のあるクラスだ。子どもの中に同化できるのは、私の唯一の特技だ。

幼稚園の餅つきと違って、つき手も愛の手も子どもたちがやっている臼のグループがある。6年生がやるとそれなりに杵の音がよく出ていたりするけれども、定額ん年がやると、杵に振り回されたりしていて楽しい。大体やりたがるのは男児であるが、杵に足をとられても、さすがに弱音を吐かない。周りで見ている子どもたちが心配そうにしていて、杵を振り上げる度に『危ない!』という気勢を上げる。それがとてもタイミングがよい。

吹きあがったもち米を臼の中に入れて、それから杵で練り上げて多少餅になってきたところでつくのだけれども、練り上げるところが力の入れどころで、うまく腰を使わなければならないが、それを子どもたちが大人のまねをしてやる格好が面白い。何でもはじめてのことはやりたがる。やりたがりが何度も失敗して見事な技術者になるのだろうな。だから学習の初発は興味や関心からだというデユーイの言うとおりだ。教科書を出して、教科書を暗記させることなんて面白くもないし、それが楽しいなんて言う子がいるのだろうか。