初等学部の理事長で、幼稚園の園長でもある港先生の熱い想い

人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ

人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ。ロバート・フルガムの有名な本の一節である。彼は職業を聞かれると『哲学者』と答えていたというけれど、なるほど読めば読むほど含蓄の深い意味が並んでいる。もうあれこれ27年も前に出た本であるが、その当時私は全くこの本に気付かなかった。数年前に全日本幼稚園連合会であった友人に紹介されたものだ。改めてこの本を手にしてみると。哲学者でありエッセイストでもある。さわりの部分だけでもここに紹介しよう。

何でもみんなで分け合うこと。
ずるをしないこと。
人をぶたないこと。
使ったものは必ずもとのところに戻すこと。
ちらかしたら自分で後片付けをすること。
人のものに手を出さないこと。
誰かを傷つけたら、ごめんなさい、ということ。
食事の前には手を洗うこと。
トイレに行ったらちゃんと水を流すこと。
焼き立てのクッキーと冷たいミルクは体にいい。
釣り合いのとれた生活をすることーー毎日、少し勉強し、少し考え、少し絵を描き、歌い、踊り、遊び、そして働くこと。毎日必ず昼寝をすること。
おもてに出るときには車に気をつけ、手をつないで、はなればなれにならないようにすること。
不思議だな、と思う気持ちを大切にすること。発泡スチロールのカップに巻いた小さな種のことを忘れないように。種から芽がでて、根が伸びて、草花が育つ。どうしてそんなことが起きるのか、本当のところは誰も知らない。でも、人間だっておんなじだ。
金魚も、ハムスターも、二十日鼠も、発泡スチロールのカップにまいた小さな種さえも、いつかは死ぬ。人間も死から逃れることはできない。
何よりも大切な意味を持つ言葉。『見てごらん』

あえてコメントする必要はないだろう。今日の学校説明会で、この話をした。幼稚園でも、小学校でも、人生の出発点ということでは同じことだ。