初等学部の理事長で、幼稚園の園長でもある港先生の熱い想い

幼児教育現場の混乱

地方自治体が保育者確保のために右往左往している。ことの発端は東京都の知事の発言にある。それまで国は保育者の処遇改善をして保育に従事していただけるように、保育料のほかに保育者の処遇改善費と言うのを新規に設け保育者の確保に万全を期すべく努力をしている。その上に都が独自に2万円を上乗せするというものだ。都に隣接する自治体はそれを聞いて浮足立ってしまい、我先にと保育者への給料のかさ上げをすることになったらしい。茨城県ではつくば市が最初であるが、保育者の通帳に直接振り込むという。金額は1月一律3万円である。

私としてみれば実に好ましい現象である。今までの保育者の給料は、仕事の割にしては薄給であって、何度も補助金の増額を県に頼んだ経験を持っている。その甲斐があって、茨城県は補助金の額が国内では5位以内にランクされたこともあるけれども、全体的に保育者の給与は安かった。特に幼稚園と言うところは、良家の子女が行儀見習いに幼稚園で働いたということもあって、あまり金銭のことを声高に言うと恥ずかしいことのようであった。しかし世の中の潮流がそれを許さなくなった。それはそれでとてもよいことである。

しかし問題もある。モラルハザードの問題である。保育者になると夢を描いてきた学生はそれなりに崇高な使命を抱いて、保育者になろうとしているが、今回の金銭問題で崇高なステージから引き落とされるような危惧がどうしてもぬぐい去ることができないでいる。私の思いすごしか、それとも思い上がりならそれでいいけれど。とにかく保育者を大切にしていこう。