あおば台 幼児教育へのこだわり

・あおば台は、25年前に保育の大改革をしました。

・大人が子どもを管理して育てる管理教育から、子どもが自分の思いを反映させて生活していると実感できる子ども主体の教育へです。

 

・園長も私もまったく違う世界から幼児教育に入りましたが、それがかえって、当時の幼児教育に新鮮な感覚を持ち込めたように思います。子どもは可愛くみんな楽しんでいるように見えましたが、もっと没頭できる環境を用意し、夢中になって生活できるようにしたいと思い始めていました。

 

・当時横浜の私立幼稚園の保育改革記録が本になっていました。確か「1000日の記録」です。

 

・私たちも幼稚園内で研修の毎日でした。夏休み中に各自本を探し、それをもとに話し合いを重ねました。暗中模索の日々でしたが、 保育が変われば子どもに必ず良い結果が出ると、みんな必死。でも楽しかったです。目的に向かって進むことは本来楽しいものなのですね。

 

・そんな時あおば台の将来を左右する人との出会いがありました。久保田浩先生と、杉原一昭先生。

 

・久保田先生は戦後の生活教育の第一人者。NHKからの出演を断った数ナンバーワンとお聞きしています。小学校の教師経験から、私たちに話す内容も具体的でした。戦後ある大学の創設にかかわり、その後白梅大学で学生を指導されていました。その中から久保田先生の息のかかった素晴らしい保育者が誕生しました。私たちが出会ったのは、その保育者の方々が企画された研修会(子どもと保育者の未来を語る会)でした。

 

・その研修会が偶然に、子どもの主体性を大切に考える方々の会でした。つまり、あおば台の目指していた管理教育から脱却し、子ども主体の教育へのナビゲーターとの出会いとなったのです。  子どもと保育者の未来を語る会へ 

 

・久保田先生は、私たちが研修会で発表することになった時、幼稚園まで出向いて下さり、指導してくださいました。テーマは「自由遊び」。保育改革前の自由遊びは小学校の行間遊びと同じで、時間が短、ブロック、砂場、固定遊具が主でした。

 

・自由遊びは自発的に行うものなので、素晴らしい力が身に付きます。自発的でなくそこに強制力があると(たとえばいくつかの用意された環境から選ぶ遊びは自由遊びの本質には届きません)身に付きません。
しかし本当に自分がしたいものにじっくり取り組めると、好奇心から没頭して遊びますから、将来を切り開いていくような基本的な力、集中力、創造力、社会性等が自然と身に付きます。

というような、幼児教育の世界では実際にはあまり行われていない本物の自由遊びについて学びました。

自由遊びにこそ、子どもの才能を引き出す仕掛けがあるのですが、その頃はついていくのに必死でした。

 

・久保田先生のお話で忘れられないのは、“自分の小さなころ、朝にお母さんが『浩、早く来てごらんなさい。朝顔が咲いているわよ!』と声をかけてくれた。そんな起こし方をしてくれた時代があったが、今、娘の時代には『 早く起きなさい!!遅れるよ』と・・・”

 

・久保田先生の提唱された三層構造という、子どもの育ちを構造的にとらえた理論を用いカリキュラムを作成しています。

 

・杉原先生は、筑波大学の教授をされていました。著書も素晴らしく、産経新聞夕刊に連載された『現代しつけ考』 は、多くの方に読んで頂きたい幼児教育指南書です。

 

・杉原先生にお願いして開いていただいた勉強会が、やがてゼミになりあおば台の先生を始め、近隣の教育関係者が参加されることもありました。

 

・第1回目のゼミは園長の希望で、自発性について。杉原先生の教え子の櫻井先生が『内発的動機付け』についてお話し下さいました。

 

・ヒトは元来自発的に生きようとするものなので、絶えず上から教えていくことよりも、動機を持たせると、自らやってみようと思うという内容だったと思います。

 

・このお二人の学者はともに素晴らしい人格者でした。 相手の言い分は最後までじっくり聞いて下さり、決して否定されません。お話に余韻が残ることもしばしばでした。杉原先生の筑波大学での最後の授業の内容は、園長を始め職員一同が感動しました。

 

・戦争中のユダヤ人の話。ガス室送りになることが決まっていたある青年が、最後に望んだことは図書館に行くこと。「本が読みたい」と。人間は悲痛な状況の中でどんな気持ちでいるかの一例を紹介して下さいました。

 

・そういえば、ある日本人ピアニストの方が同じようなことを言っていました。「 ドイツで求めた楽譜を帰国の際日本に持ち帰ったがどうしてもそれを開く気にならかった。最後の日々を送る中で書いた曲には相当重いものが込められている かと思って。ところが、 弾いてみると大きな希望に満ちた曲だった」と。

 

・そんな勉強を重ねながら昭和に創立のあおば台幼稚園、平成に創立のあおば台第二幼稚園では着実に幼児教育の成果を上げています。

 

すべては子どもたちのために
生まれてきてよかったと思える園生活

 

あおば台のこだわりは、

〇教育者としてのこだわり【プロ意識を持つ、子どもへの使命感】これに尽きます。

教育には必ず目的があります。それを教育目標と言います。

一 明るく元気で健康な子ども
一 仲間を大切にし、粘り強く優しい子ども
一 よく観、よく聴き、よく考え、よく表す子ども
一 感受性豊かで、正しいことに勇気をもって立ち向かえる子ども

これは、幼稚園の職員集団一同の強い思いなのですが、どの子にも「生まれてきて良かった」と思える園生活をさせたいのです。

 

~生まれてきてよかったと思える生活を子どもに!~

子どもの育ちは大人に責任がある。子どもには何の責任もない。
私達は子どもについて学びその責任を果たしたいと思っています。

そのために、あおば台の保育者は先ず初めに、園長の書いた「素晴らしい幼稚園」で次の勉強をします。

 

1、「発達理解」・・・子どもの発達は大人とは全く異なります。ある順序を経て能力を身に着けていきます。子ども特有の育ち方など発達の特徴を押さえます。

⇒年代ごとの発達はパンフレットに書いてあります。

例1、子どもには特有の時間が流れている・・と感じるのは、空間認識の能力が未発達だからです。年長さんの後半には、時間によって生活していることを認識させ、「 この時間に集まるから、その前にこれをしておけばよい」という見通しをもって生活することを学びます。

例2、ドリル・ワークブックや、早期教育的な訓練はしません・・ ・あおば台では、よく見て試して考える子を育てたいのです。“ 思考” は言葉でしますから言葉の完成を待たないと無駄な行為になってしまいます。言葉は5歳半ごろに9割完成します。
最近の脳科学でも、このことは明らかになってきています。
【興味のある方は澤口俊之氏著「幼児教育と脳」をご覧ください。具体的に説明されています】

 

2、「子ども観」( 子どもの内面をどのようにとらえるか)「素晴らしい幼稚園」より抜粋

① 子どもは善である。人を憎んだり陥れたりすることはない。

② 子どもは自ら成長しようとする力がある。子どもは自分にないものを羨望する気持ちが強いからだ。それは大人の比ではない。

③ 子どもは前向きであるから、時間のたった話にはあまり興味を示さない。

④ 子どもは常に新鮮さを要求している。

④ 子どもは好奇心が旺盛でそれが冒険心を生み興味を育てる。これが科学するこころの芽生えである。

⑤ 子どもが他を責めたり汚い言葉を使ったりするときには、他意があるわけでない(言葉の学習だから正しい言葉の使い方を教えなければならない)

⑥ 子どもが他の子を許す時は打算ではなく真心である。

⑦ 子どもは親以外の他人では、教師を絶対的な存在であるとみている。

⑧ 子どもは身近な大人を必ず評価している。

 

3、「教師としての心構え」 「素晴らしい幼稚園」より抜粋

① 保育は自分自身が楽しんで行うことが大切。子どもにとっては楽しくやっている保育者に出会った方が幸せであることは間違いありません。

② 私達はプロの保育者集団です。自分を磨く事を惜しんではいけません。

③ 私達は幼子の命と成長の原点を保障しているのですから、常にプラス思考でないと子どもによい影響を与えることはできませ ん。

④ 保育経験も大事ですが、一番ものを言うのは人柄にあります。その人が子どものそばにいるだけで立派な保育活動になってしまうということがあるのです。


 この他、20項目にわたっての心構えがあります。

 
※保育者は子どもにとっては大事な環境の一つです。保育者がどのような気持ちで子どもと生活をするかで子どもの育ち が全く違ってきます。保育者のプロとしての心構えを学ぶことはとても大切と考えています。

・あおば台は子育てのプロとして、子どもを受け入れること、子どもに共感すること、子どもを認め、励まし、明るい未来を感じさせていくことなど、基本的なことを学び実践していきます。もちろん私達も毎日葛藤して自分磨きをしています(笑)
  ↓
・子ども達は担任が大好き!お母さんから離れても、担任に見守られ安心して過ごすというバックボーンがあって初めて 、好奇心を持ち、自ら試す子どもになり、ひいてはその営みが様々な能力を最大限に引き出すことになっていきます。

先生は子どもにとって最大の環境です。
明るい先生、楽しい先生、いつも笑っている先生、しっかりと向き合ってくれる先生、親切な先生、元気な先生、おもしろい先生・・・・ あおば台は子どもの笑顔が大好きな先生ばかりですら、子どももみな楽しく生活できます。

 

4、「あおば台オリジナル指導計画」

※25年前に保育の大改革をして以来培ってきた幼児期の教育の「ノウハウ」は「素晴らしい幼稚園」という冊子となって( 園長の著)新任の先生たちを迎え、あおば台オリジナルの確たる保育観を学んでもらうのです。
   ↓
<実践カリキュラムへ>

・子どもは一人ひとり違います。同じ方法で教育を施しても成果は違う。それは、特効薬が効く人と効かない人がいるのと同じで、遺伝子の配列が違 うからと言われています。
しかし、あおば台ではどの子も興味をもって活動に向かうような指導計画を作成しています。
「一人ひとり発達が違うのに、どの子も興味を示せるの?」と思うかもしれません。
あおば台では保育者と子どもの関係に鍵があると考えています。
親から離れて入園し不安一杯の子どものそばで、いつも寄り添って子どもの心に共感したいと努める保育者。やがて子どもも保育者に少しずつ心を預けるようになっていきます 。

 

5、「実践」

・学問的な学びが実践と結びついた時、保育者は喜びになります。
つまり、発達を学びそれが子どもの生活に現れた時、記録を書いたり話したりするとしっかりと結びつきます。
たとえば、並行遊び。
意思の疎通はないが子ども達が数人同じ場で同じような遊びをしている姿を言いますが、3歳児の年少さんにそのような姿が見られます。
そこでは子どもが黙々とやっていることが多いのですが、黙々と遊びを継続しながら他の子を認識しているのか?など記録をもとに話し合いができます。それが考察されると、子どもへの共感、声掛けが子どもによりフィットしたものになります。

 ①  環境へのこだわり

別のコーナーでも取り上げていますが、 環境にはとてもこだわりを持っています。
というのは、子どもの能力の60%が遺伝とすると、40パーセン トは環境と言われるからです。環境には人的環境( 保護者や保育者)、物的環境(遊具など)、自然環境があります。

1、人的環境は①で教育者としてのこだわりとして述べました。

2、物的環境としては、先ず園庭をご覧ください。普通の幼稚園にあるものがなくて、ないものがあります。
園には鉄棒、雲梯(うんてい)、オリジナル滑り台(低い方が階段付、高い方が階段なしでロープ付)、また、土浦のあおば台には丸太の登り棒、人口の川、滝があります。つくばのあおば台には、樹木と竹のコラボ遊具、竹のやぐらがあります。
保育の大改革の時に、必須遊具とそうでない遊具を整理しました。その結果、鉄棒と雲梯が残り、手創りの遊具が登場したという幼稚園の歴史があります。

※20年前に、園長が保育学会で意欲について研究発表をしました。その時に意欲と食欲は比例するという仮説を立てて、 子どもの姿を追った結果、食欲には比例しないが握力に比例することがわかりました。
ですから、握力がつくようなオリジナル滑り台を設置し、高い方にはロープを使ってしか行けない仕掛けになっているのです。また、土浦の園にある上り棒、つくばの園にある竹のやぐらも、同じねらいから登場しました。

3、自然環境
あおば台の2つの幼稚園には、どちらも素晴らしい自然環境があります。
なぜ、豊かな自然環境が大事なのでしょうか?
脳科学者の澤口俊之さんの本に、次の記事がありました。
「アメリカンインディアンの昔ながらの住居は三角形のテントで、子ども達は生まれた時から三角、つまり斜線に囲まれて生活する。そのため、斜線に対して高度な識別能力を持つように成長する」

人間でも、都会でビルに囲まれて育った子どもは縦横の線にしか反応しなくな るのではないかと大真面目に議論されている。
つまり、8歳くらいまでに、その後を左右する能力が環境によって形成されるということです

園長は森のような幼稚園を子ども達に造ってあげたかったのですが、風の通りと見晴らしの良いあおば台の庭は、そういった意味でも大変良いのだと思います。