初等学部の理事長で、幼稚園の園長でもある港先生の熱い想い

2011年11月の記事一覧

小中一貫教育

小中一貫教育は学習指導要領等によらない特例制度を活用したものの取り組みとして、構造改革特別区域として全国で17件、研究開発学校制度として全国で22件ある。いずれも平成18年4月現在なので5年前の資料である。最近近隣市で小中一貫教育をうりものにして設立された学校があるが、市町村独自でそう決めたからと言って小中一貫校として国としては認めてはいない。しかも何の理念のないところで、そのような学校ができたからと言って何の意味があるだろうか。

新たな教育課程の編成や、カリキュラムのあり方が何を柱になされているのかを確認する必要がある。小学校と中学校を併設したからと言って、にわかに子ども達の質が変わる訳ではない。公立にあっては初めての取り組みだとしたら、まず教師がその理念を徹底して頭に叩き込まなければならない。一人一人が機関車のけん引のように、自ら率先してその理念を広げるくらいの情熱がなければ、絵に描いた餅になってしまう。

このようなものは、私が小学校を作るときに小中一貫校を目指していた時に学んだものである。県の担当官は、小中一貫校は作れないと何度も私に繰り返し言っていた。その理由として、教育基本法に則った学校種の中に小中一環と言う学校が記載されていないからと言う理由であったが、「それは違う!」と言い切れないものが私の中にあった。そのような議論をして、初等学部建設に支障があってはならないという懸念があったからである。

いくつもの障壁に出会って、そのたびにそれを超えるたびに何度もへりくだった姿勢でいた自分が、今思うと情けないと思う。小中学校9年間の子ども達との生活は魅力である。誰が言い出したのか2・3・4年という教育課程の編成などが一般的であるけれど、子ども達の発達理解や、発達心理から行くとこれはどうも違う気がする。私は1・2年生は全く別の世界があると思っている。4年生の発達は人としての自律のときで、混沌とした自我からはっきりと独立する時であるように思っている。

それでは3年生はどうするのかと言うと、4年生に近づいていると言うより、2年生に近い一番のヘッドであるので、1・2・3年生は一つにくくってもいい。4年生から中学1年まで、はっきりと自我が独立した4年生から思春期までを人間として修練を積む。本来は中学2年生から高校1年生までをくくりたいのだが、中学校までであると中学2年生と3年生をくくる。学問と異性について両立させなければならない大変難しい時だ。いずれにしても、選抜のある私学でないと小中一貫は難しいだろう。

現在の青葉台初等学部では、私の考えている小中一貫校の教育課程の編成のようにはいかないけれど、幼児教育から学んだ発達理解を基礎に、子どもたちの心の育ちを十分に理解して、6年生までの間の育ちをどこにも負けないという自負心を持って、共に生活していきたいと願っているしそう努力していきたい。中学校を建てるという信念はいささかも後退していない。むしろ毎日少しずつだが燃え広がっている。それまでは死なないし、心配ない。