初等学部の理事長で、幼稚園の園長でもある港先生の熱い想い

2015年11月の記事一覧

楽しい話2話

第1話  何時そうなったのか自分でも分からないけれども、鼻の頭のところに吹き出物のようなおできのような物がぽつりとできていて、そこのところが赤くなっていてまるでピエロのようであった。それを目ざとく見つけた年少さんが『先生!鼻のそこんとこ赤くなっているよ!どうしたの?』と思い切り上を向いて私に言う。『うんこれはね、もう少しでクリスマスが来るだろ、だからトナカイさんの練習してるんだ』と言うと、けげんそうな顔をして『じゃあ先生って変身できるんだ、へええっ!』と言って『変身!変身!』と叫びながら散っていってしまった。それを見ていた年長さんは『先生!そこはいたくないの?』と心配してくれる。

第2話  それは栗ご飯を食べる日であった。私の役割は毎年そうなのだが味噌汁当番で、その具材は決まって豆腐とワカメである。200人もの味噌汁を作るのであるから、味加減を整えるのに私が選ばれているわけだ。私の舌が肥えているからではなく、あんなに大きい鍋で作る味加減は度胸がないとできないだろう。まあどうでもいいやと言う、半ばどうにでもなれというような気構えがないと対処できない。それで私が責任をとってやるわけだが、今までに失敗したことはない。庭で火を燃やして、そこに鍋をかけて火の当番をしていると、かわるがわる各クラスごとに『先生ありがとうございます』を言いに来る。

やはりまた年少さんだが、ピョコンピョコンとお辞儀をしながら『ありがとうございます』を言ってくる。そんな子どもたちに『先生の作る味噌汁はおいしすぎてほっぺが落ちちゃうよ』と行ったらきょとんとしている。すかさず一緒にいる保育者がそれを優しく話をしてあげると、真剣な顔をしてほとんどの子が頬を両手で押さえていた。保育室へ入ると、『ほっぺたが落ちたらどうする?』と真顔で話している。『大丈夫だよあとでさ、ガムテープでくっつければ』と言うものもいるけれども、いざ食事になったら頬を抑えながら食べる子も何人かいた。