初等学部の理事長で、幼稚園の園長でもある港先生の熱い想い

2015年4月の記事一覧

初めて幼稚園で遊ぶ

もーりの、3歳になる前に幼稚園で遊ぶことができた何人かを除いては、初めて幼稚園で遊ぶことができた。あおば台の入園式が終わった後に、今日初めて幼稚園に登園してくる3歳児の様子が見たくて第二幼稚園へ行ってみた。保育者の第一声は『泣く子がいない』『とにかく遊びたくて、泣いている暇がない』と弾んだ声で言ってきた。バスに乗るときには何人かの子が泣いたと聞いているけれども、バスに乗ってしまえばそのあとは楽しいことばかりだ。バスに乗るときに泣いた子はこの次もなくだろうか。休みが間にあるから、泣くかもしれないがそれほど長くはないだろう。

バスに乗せるときに子どもが泣き始めてお母さんから離れないということがあるけれども、そんな時には強引にでもお母さんの手から離す。まるで人さらいのようだけれども、保育者も足でけられたりして、必死の思いでバスに乗せなければならない。そんな状況は長くたって1週間と続かない。だから来週いっぱいが経過すると、だれも泣きながら登園してくるものはいなくなる。そうなると子ども自身にも自信がついて、少し大きくなったという実感がわいてくる。沢山ほめてあげると次の段階にいきやすい。だから何もなくスーと幼稚園に溶け込むよりは、何か困ったことがあった方がよい。いずれにしても、これからそのようなことにぶつかっていかなければならなくなる。楽しみに成長を見守ってほしい。

初等学部では児童のファミリアのアンケートが出そろった。どのファミリアに自分が所属したいのかということだが、やはり一番多かったのは基地を作ろうといった『建物ファミリア』が多かった。その次はお店を出そうといった『食べること大好きファミリア』が多く、最後は『お芝居大好きファミリア』だった。それぞれに教師が張り付き子どもたちに夢を抱かせるような導入が必要になってくる。建物とか、食べ物とかは目に見えやすく具現化されやすいけれども、芝居の方は創造力がいる。私は三つのファミリアに所属し、何かと助言を与えていきたい、子どもたちの邪魔にならないように。

アンケート調査の結果、多分この子とこの子はいつも一緒にいるから同じファミリアになるだろうなどの予測は見事に打ち破られて、子どもたちの主張が色濃く出ている結果となった。これから学校での活動は自己決定の原則の中で生活することになる。寄宿舎があれば夜遅くまでもやりたいことに没頭できるのにと思う。フロー教育は時間の制限があってはなかなか到達することは困難だ。だからファミリアなどということが生まれたのだけれども、寄宿舎は絶対に必要だ。何と思われようが必要なものは必要だ。原則保護者には強制しないということを約束すれば、やり易いのではないか。

入園式

小学校の入学式とはちょっと違った雰囲気の幼稚園の入園式があった。大変な思いをしてここまで育ててくれたと言う気がするが、子どもたちにとってはそうしてもらうのが当たり前だから、わがまま言って親を困らせている。それでも親というのは見返りを求めない無償の愛だから、にこにこしてわがままに付き合っている。人間の愛について言えばこれほど高尚な愛はないだろう。かつて高田好胤先生が生前に父母恩重経というお経の話をしてくれたときに、『子が親を思う心に優る親心』という話を聞いたことがある。

その無償の愛も、徐々に子どもたちが大きくなって来ると親子でいい争いが起こったりする。これも子どもが成長する時のセレモニーみたいなもので、通らなければならない関所のようなものだ。何故いい争いが起こったりするかと言うと、ほとんどの場合が親が子どもの成長に追いついて行けない場合が多い。親からして見れば何時までたっても親子関係は消えて無くなるわけではないから、どうしても親権というものを使ってしまう。これは子どもにとっては抗えない禁じ手である。私が産んだ子だから、あなたのことは何でも知っている、ということになる。しかし実際のところ、子どもの年齢とともに子どもの視野が広がってくると、親の知りうることはそれに反比例して知らないことの方が多くなる。

あなたのことは何でもと言えるのはせいぜい3年生までである。それ以後はあまり使わないほうがよい。それは子どもの主体がはっきりしてきて、他者評価も自己評価も不安定ながらできるようになってきているから、大人を評価する時の基準が両親であるから、良い印象を与えておいた方がよい。良い印象というのは、子どもにへつらうことではない。子どもの意見をよく聞き、公平な判断を促すことである。そういったことが大人を信頼し、社会を信頼する大きな要素となって、立派な大人になっていく。

可愛い子どもたちだ。しっかりと手を携えて、ご両親ともどもと歩調を合わせてやっていきたい。卒園するころには『あおば台で良かった!』と言わせしめるよう努力して行くつもりだ。それには互いに一方的な会話はやめて、何かあったらしっかりと話し合える雰囲気を作っていこう。保護者も幼稚園も子どものためには一生懸命なのだから。親子ともども楽しい園生活を過ごせるように、できることは何でもやろう。