初等学部の理事長で、幼稚園の園長でもある港先生の熱い想い

2017年10月の記事一覧

幼児教育のこと

幼児教育、とりわけ幼稚園教育については、理念や実践において日本の幼児教育は世界に向けて冠たるものだと思っている。幼児教育はフレーベルから始まっているから、そのものまねのような幼稚園があったというのは事実であるけれども、最近の幼児教育は日本の文化に根差した日本独自の幼児教育だと自負している。 もっとも保育形態だけを論じてみると、自由保育や設定保育、一斉保育、選択保育などがあげられるが、これらの原点は何かというと横文字の海外の学者が提案したものが少なくない。

しかしそこから日本人特有のアレンジメントによって、発達心理や発達理解に則した保育形態を創造してきた。中には シュタイナーシューレーによる保育形態もあるし、青空保育と言った家なき保育などもある。これらはメジャーではないが依然としてこれらに固執した保育も息づいている。もともとと言えばルソーの『エミール』か発した子育て論が現代の教育学の原点になっているように私は思っている。社会思想家でもあるルソー は、『子は神の手から出た時は善であり、人間の手に委ねられると悪になる』などの言葉を残してる。

そしてまたルソーは『成長の論理に則して手助けをすることが教育である』と意味深な発言もしている。例えば発達にそぐわない行為は教育ではなく、むしろ子どもたちを壊していってしまうのだということ。このような理論は全日の幼稚園連合会でも十分に理解をし、研究機構から常に発信していることである。しかし依然として小学校の下請けみたいなことをしている幼稚園がある。これはそれを疑いもなく、早めにやることは良いことだと思いたがっている保護者が多いことに由来する。

しかしそう言ったことが、子どもたちの精神をむしばみ、欲求不満をあおり、内向的になるか、運動暴発のように反社会的な行為に及ぶこともある。発達に即しない行為は抑圧と同じであると私は定義している。また、抑圧された人生に良い結果は生まれないと信じている。幼稚園の素晴らしいところと、保育所との違いをこの次に書こう。