初等学部の理事長で、幼稚園の園長でもある港先生の熱い想い

2016年2月の記事一覧

これからの幼児施設はどうなる?

幼児施設というのは、就学前に子どもを預ける場所である。代表的なのが幼稚園と保育所であろう。今その施設に異変が起きている。幼児施設で働こうという学生が激減している。茨城だけの話ではなく、日本国中で幼稚園の先生や、保育所の保母さんになろうという人がいない。それでは大学の保育科や幼児教育科などに入学して来る学生が少ないのかというと、そうではない。増えてはいなくとも減ってはいないのである。大学を卒業しても幼稚園や保育所には就職しないということだけの話だ。派遣会社の社員が大学のそばをうろうろとして、卒業する学生に派遣登録をしてもらって、小遣いを渡すということをしている。

もっとも派遣を期待して幼稚園や保育所に応募しないという人は、例え派遣ではなく最幼稚園に応募したとしても幼稚園に勤めるのは無理であろうから、幼児と共に暮らす職業にあまり魅力を感じない人が多くなってきているのが事実なのだろう。大学の就職担当の教授も、どこでもよいから就職させればよいというような態度はやめて、授業中に幼児教育の大切さや、子どもとともに生きることの素晴らしさを学生に伝えてもらいたいものだ。保育所に落ちたなどの問題よりも、働く人がいないということの方がもっと深刻であろう。

自分の幼稚園は安泰であるけれども、この仕事全体を考え、将来を見据えてみた場合には寒気がするようだ。もっとも私たちの業界では28年度に保育者不足が27000人になるという試算があったのだが、それを考えてみればまだ傷は浅いとみるべきなのだろうか。しかし間違いなく保育者は激減しているというか、幼稚園に入るべき幼児が保育所にシフトをしたものだから、保育所の設置基準に照らし、保育者数が足りなくなっているということもあるだろう。ちょっと政策における対応が後手に回っている感がある。

現実に戻って、幼稚園では年長さんを相手に『立派な年長』の賞状渡しをやっているけれども、毎年のことだけれども楽しませてもらっている。子どもは全く素晴らしい。その世界に浸ることはできるけれども、その時代に帰ることはできない。それでもいい。その子どもたちといるだけで、心が洗われて、なんだか自分もピュアな人間になっている気がする。